釜ヶ崎と連帯する皆さんへ

2021年12月01日 釜ヶ崎反失業連絡会から

コロナ再開発の釜ヶ崎

今年の釜ヶ崎は、コロナの集団感染に対する対策、予防接種とコロナに明け暮れる一年で終わろうとしています。また、再開発が進み、街が様変わりしようとしています。そうした状況の中で、私たち釜ヶ崎労働者は旧あいりん総合センターの建て替え問題と併せてどのように生活を守り生き残っていくのかが問われています。コロナワクチンは当初、不安定居住者である釜ヶ崎の労働者、失業・野宿者は接種できないのではないかという危惧がありましたが、実際のところこの地域の中では希望者は全員受けることができたようです。

昨年の定額給付金の経緯から、行政との交渉、夜回りや、声かけでのチラシ配布による周知、希望者の接種券の取得の手伝い、接種予約の代行などを行い、地域の中では多くの方のワクチン接種が可能となりました。定額給付金の時には住民登録との紐づけで住所を探したりする時間の関係で時間的制約に縛られましたが、幾度とない申し入れ、要望行動により区役所に受付窓口を造らせることに成功しました。これを基礎と出来ました。

コロナ禍での越冬闘争は「越冬まつり」を開催することもできませんでしたが、少しでも正月気分を、憩いの場を、と恒例の餅つき大会は開催し、本来の野宿との闘い、餓死・凍死との闘いという越冬を軸に据え、しっかりと守り抜きました。齟齬とも少なく食糧調達もままならない仲間たちに、越冬闘争の延長戦として行った炊き出しは二月いっぱい51回になりました。その後も支援物資が続いたのでシェルター利用者にほぼ毎日炊き出しを続けることができました。皆様のご支援のおかげです。

選挙権の復権が可能に!

昨年の定額給付金支給の過程でシェルターへ住民登録が可能となったが、その三ヶ月未満の職権消除(取り消し)=選挙権行使の妨害をもくろむ市民局の住居不安定な非正規雇用・日雇い労働者への差別的選挙権はく奪に抗して、他地域の住民と同様の「一年間の居住実態のない者」という水準に押し戻すことができました。とりあえず、シェルターや簡宿(ドヤ)を利用し住民登録をする者が「出張(期間契約)」でシェルターや簡宿を離れていても投票要件である三ヶ月未満で住民登録を削除され、投票権を奪われることはなくなった。

選挙権は民主主義社会における貴重な人権の一つです。2007年釜ヶ崎で統一地方選挙に合わせて大規模な職権消除が行われましたが、選挙権を行使出来るのと出来ないのとでは大きな違いがあります。

再開発の進む釜ヶ崎とセンター建て替え問題

① 構造物としての危険性

2008年、国と大阪府はあいりん総合センターの建物全体の耐震診断を行いました。結果は当時の耐震基準も満たしておらず、地震による倒壊や崩壊の危険性があると報告され、利用を続けるのであれば大規模な耐震・免震工事を行うことが迫られました。ところが危険な構造物であるにもかかわらず、耐震問題も放置されたまま、長い期間利用され続けてきました。私たちは西成特区構想以前の問題として、危険な構造物をこれ以上使い続けることに反対します。老朽化した建物を無理に耐震補強することによって、今まで以上に使いづらい施設になることも望みません。公共の施設である以上は利用者が安心して利用できる建物として、建て替えさせる冪だと考えます。

② 労働施設としての機能不全

建物の安全性以前に本来の役割である日雇い労働者の労働施設としての機能が劣化し、大きな問題があります。このままでは、日雇い労働者の「寄り場」としての機能はさらに弱まり「寄せ場」全体が壊滅へと向かいます。今後も仕事を求めてやってくる労働者を受け止める労働施設としての昨日の立て直しと強化だけではなく、次世代にも対応できる新機能も必要です。いったい私たちは釜ヶ崎の何を守り、何を変えていくべきなのでしょうか。私たちはそこから出発しました。

すでに、旧センター上の市営(第一)住宅は移転し、第二住宅の移転も終わりました。医療センターについては縮小-診療計画を打ち破り、旧医療センターと同じ80床の地域病院として建て替わり2021年12月で一年を迎えます。旧あいりんセンター跡地(市・府が4:6で所有)は第二住宅跡地(市所有)と併合され、4:6で府・市の所有となり、南側、府の敷地には新労働施設が建てられます。その基本設計も決まりました。新労働施設は旧来のあいりん職安、西成労働福祉センターに加え、若年層、女性、高齢者、障がい者、外国人などの就労応援ができるものにしよう、となっていますが、具体的中身についてはまだ議論が進んでいません。

建て替わる労働施設部分の概要

機能不全の為求人数が建設時の1/10となった旧センター(1万平米)の縮小攻撃に対する新労働施設(8千平米、48億5千万円)の確保はまさに新自由主義(グローバリズム政治)のジェントリフィケーションとの地域ぐるみの闘いの成果です。

◎ 旧センターになかったが新労働施設に新しくできるもの

  • ホームレス就業支援センター(内職センターを含む就労支援施設)
  • 国(労働局)・大阪府・大阪市の連携した就労紹介、就労支援の相談窓口
  • 就労相談者への生活相談機能も検討中(総合相談窓口=一体的事業)
  • 技能講習や各種講習・相談会、イベントでも使える多目的スペース
  • 夜勤者や求職者が待機するための24時間使用可能な屋内スペース

◎ 旧センターにあったが新労働施設にないもの(法改正のため)

  • 福利厚生部分(娯楽室・有料シャワー室・ロッカー・食堂)

さらに北側(大阪市の土地)に新たな施設を造らせれば旧センターよりも大きな施設となります。

しかし、旧センター跡地の大阪市の持ち分については「地域のための施設」「街の活性化のための施設」などと漠然としたことが決まっているだけで、新たな予算をかけたくない大阪市がこれまでこの地域をないがしろにして放置してきたにもかかわらずとても消極的に立ち回り。「公民連携」の名のもとに何をしでかすかわからない状態です。私たちはしっかりと議論を集め地域のための施設を造らねばなりません。耐震不足を隠し、労働者を騙し、危険で機能不全に陥った労働施設をそのまま放置することがあたかも「ジェントリフィケーションとの闘いだ」などという地域と無縁なエセ学者や活動家としっかり一線を引いた、地域からの闘いを創っていきましょう。

大阪市に地域のための施設を造らせよう!

敷地の北側に地域のための福利施設を造らせることこそが、この街を労働者の街、困窮者が頼って来ることのできる街、今生活する人々を守り、「釜ヶ崎へ行けば何とかなる」という懐深く人間を受け入れることのできるこの街の歴史を継承していく道に他なりません。

私たちの運動の二つの方向

  • 安心して働き、生活するための取り組み
  • 社会からの・排除との取り組み

☆互いに命を守る闘い

  • 今年も越年闘争を闘い餓死や凍死から仲間を守っていきます。
  • 特別清掃事業の縮小に抗して拡大・条件改善を追求し、働いて食えるも道を求め、更に運動を前進させていきます。
  • コロナ対策ワクチン接種などなど求め、失業・野宿の仲間の人権を守っていきます。
  • 行政職員の非正規化に反対します。

☆安心して生活できる平和な社会を求めて

  • 全国の困窮者、非正規労働者、全労働者と共にその先頭で労働者の使い捨てと闘います。
  • 戦争に反対し、基地建設や憲法の改悪に反対します。
  • アメリカの戦争政策、経済政策に追随する政治をやめさせましょう。

    TPPや種子法改悪など海外資本に日本を売り渡すような政策は日本に生活する私たちには不利益しかもたらしません。

  • 沖縄県民の民意を踏みにじる辺野古新基地建設反対!殺戮の出撃拠点・辺野古新基地建設反対!

    戦後日本本土を占領していた在日米軍基地は、その75%もが沖縄に移されました。沖縄では世界中で戦争を続けている米軍基地によって日常的に戦争の匂いが漂っています。沖縄県民は選挙で、基地はいらないと民意を示しました。それにもかかわらず、日本政府は多額の予算をつぎ込んで基地建設を強行しています。そこには地方自治体も民主主義もありません。そんな人の存在をないがしろにする社会では私たちの生きる道もありません。

  • 過去の歴史(戦争時)の過ちを正し、「慰安婦」被害者、植民地徴用工の尊厳回復・人権回復の闘いに連帯します。

    過去の過ちをきちんと謝罪と損害の賠償をすることもなく、なかったことのように歴史を変えてしまうような個々の人権をないがしろにする社会を変えていきたいと思います。

人権を踏みにじる施策に対し反対し人権を守る全国の方々と連携し、共に闘います。

  • 他民族を侮蔑し、国内の外国籍の人々を差別しヘイトする差別排外主義を克服し、それ(国枠主義)を扇動することを許しません。
  • 国家権力犯罪=えん罪被害者を支援します。

    東住吉事件の青木恵子さん、湖東記念病院事件の西山美香さんはそれぞれ20年、12年を経て再審勝利したにもかかわらず、許しがたいことに、その国賠訴訟では、青木さんは自白を強要した警察官に、西山さんは滋賀県に、いまだに犯人扱いされています。深川事件の桜井昌司さんは29年間収容され他後54年目にしてようやく違法捜査を認めさせなした。部落差別を利用し殺人犯にされた石川一雄さんは多くの科学鑑定による新証拠が出ているにもかかわらず未だ再審請求が認められていません。

    えん罪は国家が治安を維持しようとするとき、外国籍の人、障がい者、病者、被差別者、地域に根付かない不安定居住者、定職のない不安定就労者、周囲から孤立する「不良」など、そして法律に詳しくない人たちが対象となり、仕掛けられます。こうした警察、司法の犯罪は私たち住居不安定・非正規雇用の日雇い労働者にとっては他人事ではありません。

私たちの街には産業政策の転換で炭鉱や地方、沖縄などから出てきた労働者が多かったり、被差別部落出身者や、外国籍のなかま、病気や軽度の障がいを持ったなかま、家庭の事情でまともな学校教育を受けることもできなかったなかまなど様々な人がおり、生活しています。こうした状況の下で、現実的に多くのなかまが警察・検察・裁判所の差別偏見で酷い目に遭ってきました。まさに私たちにとって大切な課題です。私たちの自らの権利と命を守る闘いは、支配しようとする人々の差別分断に抗して、孤立や排除を乗り越えていく必要があります。

原発は人類と共存できない

技術的に確立されていない原子力発電は、核兵器保持の願望と電力資本の強欲な利益追求の願望が結びついて強引に推し進められてきました。それはひとたび事故が起こると福島第一原発のように放射線物質をまき散らし、取り戻すことのできない被害を地域・住民にまき散らすだけでなく、労働者をも被曝させ、子々孫々まで被害を与えます。

また、その収拾には莫大な税金を投入ことになるにもかかわらず、制御できる技術であるかのように装い、「安全である」「安価である」と利用者を騙してきました。原発ほど高価で危険なエネルギーはありません。無差別大量殺人兵器=核兵器を持つことは当然危険な戦争への道で許されませんが、「事故が起きたら(リスクは)利用者が支払え!莫大な利益は電力会社に!」など許されるわけもありません。民主主義でも資本主義でもありません。

また、事故終息作業だけでなく、原発の運転そのものでも労働者は被ばくします。回復することのない被ばく労働は「労働力の切り売り」ではなく「生命の切り売り」なので『労働』と呼ぶことすらできません。

■ 老朽原発(40年以上)の再稼働絶対反対!